3期合同研修「人づくりは10年単位の私の一番重要な仕事。」

  • Twitter
  • Facebook

4月の下旬から5月の上旬にかけて、八王子にあります大学セミナーハウスにて、2017年、2018年、そして、2019年入社の社員を集め、3期合同研修を行いました。

4月に入社したばかりの新人社員は、この八王子での研修で営業マンとして知識やチームワークを身に着けて、それぞれの店舗に配属になります。

昨年、一昨年に入社した社員はもちろん、もう店舗で立派に活躍しているわけですが、わざわざ店舗での仕事を止めてまで、八王子の研修に参加することにはしっかりとした理由があるのです。

一つは、親の年ほど離れた課長や部長などから教わるよりも、歳が近く、昨年同じ研修合宿を経て現場で成果を上げている先輩に教えてもらう方が親近感が湧くこと、そして、もう一つは、この研修を通じて先輩社員に「人に何かを教えたり、伝えたりすることの難しさ」を理解してもらうことができるという点です。

これは、最近の若い人たちの良いところでもあり、悪いところでもあるのですが、最近の若い人たちはすぐに「お客さんに信用してもらうにはどうしたらいいのか?」、「部下が思うように動いてくれないのですが、どうしたらいいのか?」とすぐ答えを求める質問をしてくるのです。

もちろん、どんどん質問することは良いことですし、私を含め、課長、部長たちは、もう何十年もの経験がありますから、適切なアドバイスをしてあげることはいくらでもできます。

しかし、親と子の歳ほど年齢が離れている私たちと新入社員では、状況や時代性が全然違います。私たちが新人だった時に「正解」だったことが、今では「不正解」になっていることも多くあるでしょう。

そもそも、仕事というものは、正解のない問いに共に挑むということですから、課長、部長たちが頭ごなしに教えたりするのではなく、こういった合同研修を通じて、年齢や考え方が近い人たち同士が一緒に考えて、答えを出すことに意味があるのです。

日本一の純利益を出す企業はトヨタ自動車で、2018年には約2兆5000億円近くの純利益を生み出しました。トヨタでは、不良品が出ると必ずラインを止めて、「なぜ、不良品が出たのか?」ということを考える場をつくります。この時、上司は従業員に自らの頭で考えることで知恵を出させるため、決して答えを教えないのです。

さらに、トヨタの「自らの頭で考える文化」の基礎をつくった大野耐一さんは、「自分であれば、例えばこうする」とアドバイスし、それをそのまま実行した部下を次のように叱ったと言います。

「なぜわしの言う通りやった。わしの言う通りやる奴はバカで、やらん奴はもっとバカ。もっとうまくやる奴が利口」

多種多様なお客さんが毎日来店する営業職は、状況に応じて自らの頭で考えることばかりですし、店長になり、それをマネージメントする立場になれば、そういった状況はもっと、もっと増えてくることでしょう。

この3期合同研修は、学生時代にたっぷり身に着けた「知識」を体験を通じて「知恵」に変換するための研修です。子供の頃に体で覚えたことは大人になっても素質として残るように、新人の頃に体に染み込ませたことは、30代、40代になった時に必ず大きな意味を持つようになります。

1人の一歩より、100人の一歩、人づくりとは10年単位の長期的な仕事なので、ゆっくりでも、間違えてでも、自らの頭で考えさせる習慣をつけさせることで、ハウスコムの未来を担う人財が育っていくのです。

役職、部署、年齢を超えた「タテ・ヨコ・ナナメ」の関係をつくり、人と人の間に気脈を生ませる。

最近では、いきなり現場に新人を配属して実体験を積ませながら、教育していくという企業も多いようですが、ハウスコムでは入社して1ヶ月半ほどは、新入社員全員で必ず研修を行うことを徹底しています。

もちろん、入社式の次の日から店舗に配属し、少しでも多く場数を踏む方が速く仕事が上達して売上を上げられるようになるかもしれません。

でも、企業には見えるものと見えないもの、つまりはバランスシートに映るものと、そうではないものがあるのです。目に見えるものとは、当然、売上や利益などですが、目に見えないものとは、企業文化や信頼であり、これは人間と人間の間に気脈のようなものが通じていなければ維持することができません。

こういった合同研修を通じて、役職、部署、そして、年齢を超えた「タテ・ヨコ・ナナメ」の人間関係を作ることができますから、実際に新入社員が現場に出た時に上司に悩みなどを相談しやすくなりますし、逆に本社で何か新しい企画を始める時などは若い人たちの意見を積極的に聴きやすくなります。

また、もう一つ時間をとって研修を行う理由として、やはりビジネスマンとしての基礎、そして、人間としての基礎は現場に出るまでにしっかりと教えてあげなければなりません。

本田宗一郎は、地元浜松から東京の自動車修理工場に入社する際、自動車修理のテストはすぐに合格しましたが、辛抱強さを試す赤ちゃんの子守のテストをパスするのには半年もかかったのだと言います。

もしかすると、新入社員の方々の中にも、「こんな合宿はどうでもいいから早く店舗に配属して、営業をやらせてくれ!」という人たちもいるかもしれません。

でも、100年ライフと言われ、人生の中でキャリアが何度も何度も変わることが想定される中、縁あって新入社員の方々はハウスコムから社会人生活をスタートしてくれました。

恐らく、これから時代が進むにつれて、65歳で退職して老後生活を送るという概念が無くなり、生涯現役で働き続ける時代がやってくることでしょう。どんどん転職していく人も多いでしょうし、70歳で起業する人たちも出てくるかもしれません。

将来ハウスコム を離れても、他人への気配りや仲間の大切さなど、人間としての基礎は新卒で入社したハウスコムで身につけたと言ってもらえるように、新人研修のプログラムは毎年、真剣に力を入れてつくっているんです。

本田宗一郎はエンジンの音を聞いただけで、車のどこに異常があるかがすぐに分かりましたし、長嶋茂雄さんは電話越しにスイングの音を聞くだけで、バッテングフォームのどこが乱れているかをすぐに言い当てました。こういった人間離れたした超人的なスキルがどのようにして身に付くのかはわかりませんが、やはり人間としての基礎を徹底的に積み上げた結果なのでしょう。

私も抜き打ちで店舗に行って、店舗の机の上と机の中を見れば、お店の人たちの人間関係は大体分かります。

私も、もう30年以上、社会人として、営業マンとして、そして経営者と数えきれない人たちを見てきましたが、仕事だけできても、人間としての基礎ができていない人というのは、30代になると急に成長が止まってしまいます。

今回の合同研修では、「どうやったらいいですか?」という質問に対して、あえて答えを与えず、自らの頭で考えさせる機会を多く設けました。20年後、今の新入社員たちが会社の中核になる頃には、私はもちろんのこと、いまの役員や部長たちも第一線からは引退していることでしょう。

その時、もの凄いスピードで変化していく時代の中で何をしたらいいかを教えてくれる先輩はいません。いるのは、それを一緒に考えてくれる仲間だけです。

そう言った意味で、仕事の仕方や事業モデルなど、時代に応じて「変わっていくもの」は、これからのハウスコムを担う新入社員たちが自ら答えを見つけていなかければなりません。私たち経験豊富な大人が教えてあげられることは、今後も変わらない人間としての基礎や最低限のビジネスマナーぐらいです。

私は毎年、この新人研修に参加していますが、毎年この研修で新入社員のやる気と素直に触れるたびに、私が守ってあげなければいけないものが何なのかを再認識させられるような気がします。

私が教えてあげることよりも、私が新入社員たちから教わることの方が圧倒的に多いのですね。

新入社員の皆さん、配属された店舗で、研修で学んだことを最大限に生かし、どんどん活躍の場を広げて下さい。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長執行役員:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。2016年度、中央大学商学部客員講師に。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

  • Twitter
  • Facebook

オススメの記事

2019/10/07

新入社員内定式「経験がないことが若い人達の強み。新しい発想は若い人達からしか生まれない。」

2019/09/16

最終的に、不動産企業は”地域のコミュニティ・マネージャー”になっていく。

2019/09/08

わずか77日で東証一部へ上場「個(自分)が成長することにより、 成長するのは”会社”なのです。」