自分の席を移動して、別の部署の人と頭脳を衝突させよ。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.34

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本田宗一郎と藤沢武夫、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、そしてソニーの盛田昭夫と井深大など、新しい時代を切り開いていった人には必ずと言っていいほど、名パートナーがいました。

しかし、なぜか興味深いことに名パートナーというのは考えが似たもの同士というよりは全く違うタイプの人が手を組む方が上手くいくことが多いみたいですね。

例えば、20世紀を代表する本田宗一郎と藤沢武夫は、本田宗一郎が経営者として本は一冊も読まなかったことに対し、藤沢さんは大の読書家でしたが、自動車やバイクなどにはそれほど関心がなく、なんとホンダの重役だったにも関わらず運転免許すら持っていなかったそうなんです。

今回ご紹介する「二人で一人の天才」という本の中でも、仕事をする上では似ている部分を見つけるよりも、違っている部分を重視して、時には対立しながら、進めていく方が結果として良いものが仕上がってくるのだと言います。

結婚に関して研究しているジョン・ゴットマンさんによれば、喧嘩や対立とは、時々降る雨みたいなものだと言っているんですね。

定期的に訪れるお互いの対立が庭の草木にとっては恵みになり、実際は喧嘩が少ないカップルの方が離婚する確率が高いというのですから、驚きですよね。特にクリエイティブな仕事に関しては、この傾向が強いのではないかと思います。

また、異なったスキルを持つ人達が混ざり合って化学反応を起すといった意味で、行動科学の専門家500人が行った大規模な調査によれば、同じ分野の研究者は同じフロアで働いている人同士の方が、一つ上の階で働いている研究者よりも協力する傾向が2倍高かったそうです。

そして、私が一番興味深かった点はこの次で、さらに同じ機関の調査によれば、異なる分野の研究者が隣り合って仕事をしている場合、同じ部署で違うフロアにいる同僚よりも協力する傾向が6倍も高かったというのだから驚きです。

つまり、これはどういうことでしょうか?ハウスコム本社では、フリーアドレスで働くことを積極的に推進していますが、いつもは関わり合いがない人、もしくは全く違う部署の人と働くことで、協力する割合が単純に6倍になるということになります。

経理のソリューションを経理部が持っているとは限りませんし、営業の問題はカスタマーサポートの人の方が意外とよく分かる可能性は十分にあります。もっと、色々な島に移動して人間同士の科学反応を起こしていきましょう。

必要な人は揃っています。あとは、社内・社外の人の頭脳が上手く衝突する職場環境を作っていくことが大切なのではないでしょうか。

◆ジョシュア・ウルフ・シェンク 「POWERS OF TWO 二人で一人の天才」 (英治出版、2017年)

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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