品川駅の改札を抜けたら、港南口ではなく高輪口の方へ進め。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.24

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皆さんは、岡本太郎さんの作品を見たり、本を読んだりしたことはありますか?

もう20年以上前にお亡くなりになっている方ですが、私はどれだけ自分が独自性やクリエイティブな視点を持って生活しているつもりでも、岡本太郎さんの作品や本に目を通したりすると、自分はまだまだ、ただの「常識人間」なんだなとつくづく反省してしまいます。

岡本太郎さんが、日本の経済が絶好調だったバブル期に書いた本を読むと、急激な経済成長と引き換えに、みんなが同じ顔、同じ目つきで、ネクタイを締めて、取り返しのつかない人間喪失のむなしさを感じると次世代の日本人に向けて警告を発しているんです。

現在、企業でも学校でも、オリジナリティや個性を求める傾向にあります。しかし、私は都会で高い生活基準の中に暮らし、好き放題やって生きている人ほど、個性やオリジナリティが少ないのではないかと思うんですが、皆さんはどう思いますか?

品川駅の改札を抜けると、同じ服を着て、同じようにどんよりした顔の人達が一斉に同じ方向に向かって歩いて行きます。オリジナリティという言葉からはほど遠い光景ですよね。

岡本太郎さんも、田舎の庶民は都会の人よりも貧しく、着ているものもパッとしないかもしれないが、一人一人がしっかりとした「顔」を持っており、生活者としての輝きが滲み出ていると言います。人間的な表情を、激しく、深く、そして豊かに打ち出しているからでしょうね。

岡本太郎さんは自分の作品を見せて、「いやな感じ!」と言われるからこそ、作品を見せる甲斐があるのだとして、こんな風に言ってますよ。本当に見習いたいものです。

「『 あら、いいわね』、 『しゃれてるじゃない』 、『 まことに結構なお作品』、なんて言われたら、がっかりだ。こちらは自分の生きているアカシをつき出している。人間の、 ほんとうに燃えている生命が、物として、対象になって目の前にあらわれてくれば、それは決して単にほほ笑ましいものではない。 」

「心地よく、いい感じであるはずはない。 むしろ、いやな感じ。いやったらしく、ぐんと迫ってくるものなのだ。そうでなくてはならないとぼくは思っている。」

都会で暮らす人でも、周りの目を気にせず、もっと人間らしく、独自性を持って生きたくても、現実は難しいだろうと考えてしまう人がほとんどかもしれません。でも、その矛盾と必死に戦おうとするところから本当の「オリジナリティ」というものは生まれてくるんだと思いますよ。

少なくても私はそう思っています。

◆岡本 太郎「自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか」青春出版社、1993年 Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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