不動産の専門性を追求していくだけでは、絶対にイノベーションは起こせません。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.21

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私はいつも不動産業界にイノベーションを起すにはどうしたら良いのかを真剣に考えるのですが、やはり最近では不動産の専門性を追及していくだけでは、ダメなのではないかと思うようになりました。

ビジネススクールの最高峰、ペンシルベニア大学にアダム・グラントという教授がいます。

彼の著書によれば、偉大なクリエイターに必要なのは、業界の専門的な知識ではなく、むしろ幅広い分野の知識で、ある研究によれば、ノーベル賞を受賞した科学者は、ごく一般の科学者と比べて、芸術にたずさわる割合が圧倒的に高いことが分かったそうです。

つまり、創造性というものは、「幅広い経験」と「深い経験」が上手く交差したところに生まれるものなんですね。逆に不動産の専門知識が深くなり過ぎてしまうと、世界の見方がある一定の方向に固定されてしまうので、注意が必要です。

どの業界でも必ず言えることなのですが、100パーセントオリジナルなアイデアというものはありません。本当のオリジナリティとは、出版、農業、そしてファッションなど、何でも構わないのですが、別の分野の知識やアイデアを我々が専門とする不動産業界に持ち込んで発展させることを言います。

だから、ハウスコムは不動産の業界経験がなくても、異業種の業界からの人達をどんどん歓迎したいですね。

アダム・グラントさんの本によれば、ファッション業界で最も創造性が高い人達は、目立って海外経験が豊富だったと言います。特に興味深いのは、アメリカ人がカナダで働いた経験よりも、アメリカ人が日本や韓国で働いた経験の方がオリジナリティを強くする要素に大きく影響していたところです。

これは不動産の業界も同じことですよね。別に海外に行く必要はありませんが、本当に業界にイノベーションを起すつもりであれば、不動産の仕事は定時で切り上げて、もっと芸術や音楽、そして社外のコミュニティに参加してみるなど、新しい価値観に自ら積極的に触れる努力をしなければ、世界の見方がある一定の方向に固定されてしまいます。

イノベーションを起こせる人というのは、できるだけ多くの価値観に触れている「普通の人」なんですよ。きっと。

◆アダム グラント「ORIGINALS 誰もが『人と違うこと』ができる時代」三笠書房、2016年 Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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