不動産の専門用語はお客様の前では使わない方がよい。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.17

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全く同じ商品やサービスでも、その人の人格を通してお客様に説明すると、伝わり方が全然違ってきます。そう言った意味では、ジャパネットたかたの高田明さんの物事を「伝える力」はまさに天才的ですよね。

高田さんは商品の魅力をお客様に「伝える」ことと、その魅力が「伝わる」ことは全然違って、ただ「伝えたつもり」で終わってしまったら、お客様の心を動かすことはできないのだと言います。

高田さんによれば、モノを紹介する時は、こちらが思っている商品の良さと相手にとっての価値観のズレを一致させる必要があり、その商品を伝える相手が男性なのか、女性なのか、若者なのか、それともシニアなのかなど、その商品の良さを伝えたい相手を意識し、相手側の気持ちが分かっていなければ、決して売上には繋がらないという言うんですね。

皆さんも高田さんが現役でテレビショッピングに出ていた時にお気づきになられたかもしれませんが、高田さんは難しい専門用語は一切使いません。

例えば、「カメラのピントを合わせる」という言葉は使わず、「カメラの距離を合わせる」と言ったり、「ズーム」という単語は使わず、「遠くのものも近づかなくても大きく撮影できる」と説明したりと、相手側のことをもの凄く意識して、言葉を選んで使っています。

専門用語は時間を短縮できていいかもしれませんが、お客様に伝わっていなかったら何の意味もありませんよね。

高田さんが電子辞書を売る時は、現物の辞書を机の上に並べて、収録数の多さをアピールしたり、リンカーンの演説を電子辞書の読み上げ機能と一緒に暗唱したりと、ちょっと工夫して、「伝わる」ことを意識したことで、売上はどんどん伸びていったそうです。

よく考えてもみて下さい。ジャパネットさんは特に自分たちで独自の商品を開発しているわけではありません。ジャパネットさんで販売しているものは、基本的に全国どこの量販店でも買うことができますが、なぜか不思議とジャパネットさんが売ると、飛ぶように売れていくから不思議です。

やっぱりモノが売れないのを時代のせいにしてはいけませんね。ハード(もの)は変えられませんが、ソフト(使い方)に新しい価値を生み出せば、商売の可能性は無限大でしょう。

高田さんは番組の前に20回も、30回も商品の伝え方をシミュレーションしているそうで、間のとり方が違うだけでも、売上が大きく変わってくるそうですよ。

こういう話を聞くと、営業という仕事が楽しくなりますね。

◆高田 明「伝えることから始めよう」東洋経済新報社、2017年 Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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