戦略は二流でいいが、実行力は一流「偶然は心構えのある者に味方する」<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.4

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旅行に使うバックを探していたら、偶然旅行先の良いレストランを紹介する本を見つけたり、仕事を通じて知り合った人が、共通の趣味を持っていて、仕事以外でも時間を共にするようになったりと、他の目的で行動している時に、当初は予定もしていなかったことを見つけた経験は誰にでもあることでしょう。

このような偶然から生まれる新しい概念は「セレンディピティ」とも言われ、近年、イノベーションが毎日のように叫ばれるビジネスの世界でも、セレンディピティの概念がどんどん重要になってきています。しかし、このような「偶然の一致」を引き寄せるためには、神に祈る以外に一体何をしたらよいのでしょうか。

自分の専門内のことを綿密に計画して実行しているだけでは、セレンディピティは起こらず、フランスの化学者、ルイ・パスルーツは160年も前に「偶然は心構えのある者に味方する」と言ったことは有名ですが、人生の中でセレンディピティを増やすには、社内・社外問わず、どんどん人とコミュニケーションを取って、SNSなども積極的に使い、そして、旅行にも出かけて、まずはたくさんのアイディアを自分の中に蓄えていくことが大切です。

そして、セレンディピティを味方につけるためには、戦略が一流で実行力が二流よりも、実行力は一流で、戦略なんかは二流でいいという心構えを持つ必要があります。作家のフランス・ヨハンソンによれば、ビジネスにしても、科学にしても、新しいアイディアの質に最も相関関係があるのは、圧倒的なアイディアの量なのだと言います。

ピカソは一日あたり二点から四点の絵を書いて、生涯五万点近い作品を残し、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンは400社以上の会社を立ち上げ、グーグルは何百個もの製品を作り、あのアップルでさえ、新しいアイディアを出す時は90%が失敗に終わるのだそうです。

かのスティーブ・ジョブズも次のように述べています。

「クリエイティブな人々に『どうやって、そんなことができたのか』と尋ねたときに彼らがちょっと後ろめたい気分になるのは、実は彼らは何もしていなくて、ただ何かをみていただけだからなんだ。後からそれがはっきりしてくる。」

「なぜなら、今までに経験してきたことをつなぎ合わせ、新しいものをつくりあげていることがわかるんだ。」

偶然がもたらす楽しみが増えると、普段の単調作業から抜け出して、いつも使っていない能力をどんどん発揮できるようになるでしょう。そう言った意味で、セレンディピティとは、神が新たな行動をし続ける者にだけに与える、最大の贈り物なのかもしれません。

1.澤泉 重一「偶然からモノを見つけ出す能力 -「セレンディピティ」の活かし方」KADOKAWA / 角川学芸出版、2014年 Kindle

2.デイヴィッド・ケリー「クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法」日経BP社、2014年 Kindle

3.フランス・ ヨハンソン「成功は“ランダム”にやってくる! チャンスの瞬間「クリック・モーメント」のつかみ方 」CCCメディアハウス、2013年 Kindle

4.デビット・バーカス「どうしてあの人はクリエイティブなのか?―創造性と革新性のある未来を手に入れるための本」ビー・エヌ・エヌ新社 、2014年 P98

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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