今期、ハウスコムは「デザイン・カンパニー」をビジョンとして掲げていきます。

4月から始まったハウスコムの第21期ですが、今期から会社全体のビジョンとして「リアルの店舗を『コト化』するデザイン・カンパニー」というものを掲げていくこととしました。

今までのように「お部屋をどんどん紹介して売上を積み上げていく」というだけでは「コト化」されていることになりません。企業の都合でモノやサービスを売りつけていくプッシュ型のスタイルはもう古いのです。お部屋を紹介して案内する「仲介」という立場だけでは、世の中に対して価値を提供し続けることはできません。

そもそも私たち不動産賃貸仲介会社は、お部屋に入居してほしい家主様と新しく住む場所を探しているお客様を繋ぐというビジネスを過去20年間行ってきました。

しかし、目まぐるしいスピードで世の中が変化していく現代。不動産業界に関わらず、金融や小売業界など様々な業界で従来のビジネスモデルが機能しなくなってきているのは、周知の事実かと思います。

テクノロジーが台頭したこのような時代に行っていかなければならないことは、私たちが紹介するお部屋の中にはどのようなストーリーがあるのか、お部屋のあるその地域にはどのような人々が住んでいて、どんな魅力があるのかという「リアル」を伝えていくことです。

例えばどこかへ旅行に行く前ワクワクする瞬間のように「ハウスコムの店舗ではどんなストーリーが待っているんだろう?」とお客様が来店前にワクワクするような店舗づくりを目指していなかければなりません。

そして何よりも全国のハウスコム店舗で働くハウスコムの社員たちが、家主様や地域の方々と「一緒にストーリーをつくっていくんだ」という気持ちを持つことが大切になります。

これがハウスコムが新しくビジョンとして掲げる「コト化」の本質です。

ハウスコムには「語るに値するストーリー」がある。

一方「デザイン・カンパニー」の「デザイン」のとは、従来の記号(sign)の否定・分解(de)をするという意味です。つまり、従来の意味(記号)の組み合わせを否定し、変えていくことなのです。

もしかしたら、それはパズルみたいなものかもしれません。いま完成しているパズルのピースを一度全部分解して新しい組み合わせを考えることで、前とは違った絵を作り出すことができますよね。

同じように、今まで常識だった組織の形・店舗の形というものを変えて、新たな「コト」をデザインすることで、今までにない新しいハウスコムのストーリーが生まれてくるのではないでしょうか?

今期「デザイン・カンパニー」という大きなビジョンを掲げたのには理由があります。それは、ハウスコムの中には「語るに値するストーリー」がたくさんあるにもかかわらず、まだまだ世の中に対して上手く伝えられていないと感じたからです。

約1,100人のハウスコム社員一人一人が「自分の人生は自分でデザインするんだ」という心構えを持てば、1,100通りの新しいストーリーが生まれてくるはずです。

そうして社員一人一人が自身の人生をデザインすることによって、いずれお客様の人生もデザインするという新しい仕事を創り出すことができるのではないでしょうか。

仲介という立場でお部屋を紹介していた私たちが、次の5年・10年で世の中に提供していなかければならない新しい価値とは、この「お客様の人生をデザインする」ということなのではないかと私は思っています。

今期は店舗や部署の壁をどんどん無くしていく。

社員一人一人が人生をデザインできるようにしていくためには、ハウスコムという組織の仕組み自体も新しくデザインしていかなければなりません。

実は今までのハウスコムの組織は、比較的縦のラインが強い組織でした。

ハウスコムが「デザイン・カンパニー」という新しい形に進化していくためには、この組織体制では上手く機能しないのは明らかです。

縦ラインの組織では、ある社員が素晴らしいアイデアを思いついたとしても全体に共有するまでに時間と手間がかかってしまいます。

その社員が主任に話した次に課長とディスカッションされ、その次は次長に、その次は部長にと縦の組織を上がっていき、やっと最後に経営会議にかけて議論されるという長い長いプロセスがあります。

基本的に人間は目の前のことしか認知できず、かつ合理的に考えてしまうという癖があります。その結果、社員一人一人の視野がどんどん狭くなっていってしまいます。

例えば営業部は営業部のことしか考えなくなり、業務部は業務部のことしか考えなくなってしまいます。

縦より横の関係を徹底的に意識していく――たとえ一時的に生産性が下がったとしても。

社員一人一人が人生をデザインできる環境を整えるためには、社内の人と人との関係を縦の関係だけではなく、横にいる人、斜め方向にいる人にも関係を広げ、どんどん新しいネットワーク型組織を作っていかなければなりません。

これは本社に限ったことではなく、店舗でも同じです。店舗内のスタッフだけではなく、隣の店舗、ちょっと離れた場所にある店舗のスタッフとも様々なことを共有することで、地域にハウスコムネットワークが作られていきます。

ネットワーク型組織ができてくるとどうなるか。例えば中央線沿線にならどの店舗の仕事がどれくらい進んでいて、お客様や家主様とどのようなコミュニケーションを取っているかということが、ある程度その地域の無意識のネットワークの中で分かるようになっていくでしょう。

例えばハウスコム吉祥寺店で働くスタッフの強みは何かということを、隣のハウスコム三鷹店がしっかり理解しているとか、逆に三鷹店で働くスタッフが苦手とする部分を隣の吉祥寺店のスタッフが理解しているといったように、常に横の関係を意識して、店舗間のネットワーク強化を意識していきたいと考えています。

今まで意識してこなかったことを意識すると、一時的に生産性が落ちるタイミングがあるかもしれませんが、長期的に見れば新しいネットワークの繋がりが増えれば増えるほど、社内の生産性は上がっていくことでしょう。

実際、すでに本社では横の繋がりで結成された様々なプロジェクトが行われていますが、ここで今までにはない凄く良いものが生まれ始めています。こういった横の繋がりを店舗の方でもどんどん増やしていこうと考えています。

周り店舗をどんどん巻き込んで、1+1が5や10となる解決案を生み出すようなハイブリッド型の組織になることが今世の中からは求められているのです。

自分のネットワークをデザインして行こう。

自身をデザインする視野を社内だけではなく社外にまで広げ、地域の人たちまで巻き込んでいくことで、ハウスコムの事業は「コト化」していきます。

休日には何をするか。家でお酒でも飲みながらテレビを見てゆっくりする…という過ごし方も否定はしませんが、それではハウスコムの事業は「コト化」していかないでしょう。

例えばファーマーズ・マーケットをのぞいて見たり、地域の様々な行事に参加するなりして、社内だけではなく、地域にもネットワークを広げていくことが、次にハウスコムが目指す「コト化ビジネス」の本質になります。

お客様にお部屋を紹介する際にも、「このお部屋は駅から歩いて10分で、周りには安いスーパーとコンビニがありますよ。」と伝えるより、「近くで週末開かれるファーマーズ・マーケットで売られている野菜はすごく新鮮で安いですよ」といったユニークな情報を伝えたり、「近くにある動物園では、いつでも動物にさわることができて、すごく癒されますよ」という体験を共有してあげることによって、お客様の部屋探しは今までとは違ったものになってくるのは間違いありません。

こういった話をお客様にしてあげるためには、私たち自身がまず体験していなければなりません。自分のネットワークをデザインするという意味でも地域の方々としっかり関わっている必要があるのです。

仕事以外での活動が、仕事の最大のヒントになる。

近くにコンビニやスーパーがあるかどうか、もしくは最寄り駅からどれくらい離れているかといった情報は、私たちがいちいち伝えなくてもインターネット上のマップを見れば大体分かってしまいますから、ほとんど価値が無い情報と言えます。

これからはハウスコムの社員が仕事以外のところで日々感じていること、もしくは今までのハウスコムの仕事では必要とされなかったスキルをどんどん仕事の中に取り込んでいくことが大切になってきます。

さらには、それを部署や店舗を超えて共有し、一人一人が違う経験を交換し合ってネットワーク型組織にしていくことができれば、もっともっと良いものが連携し合って新しい価値をデザインすることができます。

私が想い描く「デザイン・カンパニー」とは、決して縦のラインを否定するものでも、階層を減らす文鎮型の組織にするというものでもありません。

私は一人一人の社員が持っているスキルや経験が上手く循環するようなネットワーク型組織の企業にハウスコムを変えていきたいと思っています。

もう過去20年間のハウスコムは終わりにしよう。

代表としての私の役割は、会社を変えることです。会社を変えることができなくなったら私の役目は終わりだと思っています。

リーダーたる者は、来るべき未来を見据え、少しぐらい無理矢理でも会社を変化させていかなければなりません。

これから不動産業界が先の見えない時代に突入するなかで、私たちはもっともっと先を目指して、「理想とする業界のトレンドを自分たちでつくっていくんだ」という気持ちで前に進んでいくことが求められます。

今期最初の社内向けスピーチでも「もう過去20年間のハウスコムは終わりにして、未来のハウスコムを一人一人の手でデザインしていきましょう」と伝えました。

デザインの方法は社員一人一人で違ってもよいです。その表現力が会社全体でネットワーク型組織となり、「コト化」されて目に見えるようになった時、ハウスコムはものすごい威力を発揮するのではないかと思います。

未来のハウスコムは「いまハウスコムにいる人たち」にしかデザインできませんから、真っ白なキャンバスに新しい絵を描くような気持ちで次の20年を、新年度をスタートさせたいと思います。

次の20年に向けて全力で挑戦するハウスコムを、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

 

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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