「正しい選択」をAIが提示し、「面白い選択」を人間が提示する未来の賃貸仲介業の形。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.57

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2月27日、朝日インタラクティブ株式会社 / CNET Japan主催により行われた「CNET Japan Live 2018 AI時代の新ビジネスコミュニケーション」に登壇させていただきました。CNET Japan Liveには2017年に続き2度目の登壇となりますが、今回は「リアルとAIの結合で『部屋の見える化』〜未来の人生をデザインする〜」と題してお話させていただきました。

昔から変わらぬままである「不動産屋」という存在。「このまま変わらずにいられるのだろうか」という危機感から、ハウスコムはあえて自分たちの仕事を奪うことになるかもしれないAI(人工知能)の分野にどんどん力を入れてきました。

インターネットが人と企業を繋ぎ、「賃貸仲介業」の価値が見えづらくなってきているなかで、全国に165店舗を構えるハウスコムも以前とは違った新たな存在価値を示していかなければなりません。

ハウスコムでは、2016年よりAIによる物件検索およびAIチャットbotを導入。営業時間外でも営業スタッフの代わりにAIがお客様とコミュニケーションをとってくれることで顧客満足度が向上し、最終的な来店数アップに繋がりました。来店率推移のグラフをお見せしながら、今回講演の前半でお話させていただきました。

しかし、このままAIにすべて仕事を任せればお客様の来店数が確保し続けられる…という話ではありません。私自身、AIという分野に注力すればするほど、逆に人間への興味や好奇心が日々強くなってきているように思います。

確かに、AIと違って人間は24時間365日休みなく働き続けることはできません。お客様からお部屋に関するご相談をいただいたとしても、何時であろうがすぐにレスポンスができるAIとは違います。しかし人間は、実際に目の前にいらっしゃるお客様に対して、どのような提案・対応をしようかと創造工夫して「考える」強みを持っているのではないでしょうか。この強みを最大限に生かしていくことこそが、リアルな存在であるハウスコム店舗の新しい存在意義であることは間違いありません。

例えば今は大の出版不況と言われ、書籍の売り上げが落ち込んでいます。しかし、「売れない」と言われている書籍を主力商品として取り扱う東京・代官山の蔦屋書店はいつも人で溢れていますよね。大型家電店への来客数が減少しているのにもかかわらず、iPhoneやiPadといった数少ない商品しか置いていないアップルストアは常に活気が絶えません。

なぜ、蔦屋書店やアップルストアには人が集まるのでしょうか?それは、書籍やiPhoneなどの商品を売ることを通して、”新しいライフスタイル”をもお客様に提供しているからと言えるでしょう。

今まで賃貸仲介業とは、お客様の要望に沿うお部屋を提案することに尽きる仕事でした。ところがこれからのハウスコム店舗は、目の前のお客様のライフスタイルを理解した上で、”ちょっと先の未来”をイメージできるようなお部屋探しサービスを提供していかなければなりません。

例えば愛犬家のお客様に対して、ペット可物件の条件にはまる物件をひたすら紹介していく…代わりに、たとえば海が近い物件を紹介しながら、「毎朝、わんちゃんを連れて海辺をお散歩できます」といった”新しいライフスタイル”をひとつ提供することができます。

思うに、不動産営業に関わるすべての人は「デザイナー」にならなければ生き残っていけないのではないでしょうか。

ここで言う「デザイナー」とは製品等をデザインする人のことではなく、お客様やそれぞれの地域にお住まいの方々、そしてオーナー様に今まで以上に深く関わり、様々なコミュニケーションを通じて、お客さんの人生を「デザイン」できる人です。

例えば、東京に上京してくるカップルがいたとしましょう。東京での新生活に期待を膨らませる二人の新たな住まいとして、「二人の勤務先に比較的近い場所」を選ぶのは「正しい選択」かもしれませんが、果たしてそれが「面白い選択か?」と問われれば、そうは思えないでしょう。

「正しい選択」はすべてAIに任せればよいのです。今後AIの開発がどんどん進んでいけば、人間よりも正確な答えを、迅速に、いつでも休むことなくAIが答えてくれるようになっていきます。

そんな”AI時代”に対してリアルな存在である店舗が新しい存在価値を見出していくためには、不動産賃貸営業マンがどれだけ「面白い選択」を提示できるかが重要になってくるでしょう。

もっと先の未来、AIがさらなる進歩を遂げた時には「不動産賃貸営業」という言葉自体も死語になっているかもしれません。「不動産デザイナー」や「不動産コミュニケーター」…なんて言葉が出てくるかもしれませんね。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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