作業は人工知能に代行されるが、仕事は絶対に代行されない。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.5

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人工知能やテクノロジーが発達していくことで、人間の仕事が奪われるのか、と問われれば答えはイエスであり、ノーであるとも言えます。

銀行の受付がATMに変わり、駅の改札で切符を切る駅員さんが自動改札に置き換えられるなど、今後10年〜20年で、米国の仕事の47パーセントがテクノロジーによって自動化されるという恐ろしいリサーチもありますが、これを別の意味で捉えれば、人間は次の10年〜20年で47パーセント分の新しい仕事を自ら生み出していかなければなりません。

人間が動かなくても、社会の生産性が上がっていく時代に私たち人間がしなければならないことは、「人間プレミアム」を最大限に意識し、機械でも仕事は代行できるが、人間臭さがないと顧客に支持されない新しい仕事をどんどん生み出していくことでしょう。

そういった意味で、「勉強をしている人」と「勉強をしていない人」の差はどんどん広がっていくでしょうし、「勉強をしている人」にとって人工知能やテクノロジーは自らの仕事を加速させるありがたいアシスタントになっていくのに対し、「勉強をしていない人」にとっては自分の仕事を奪っていく脅威になっていくことも十分考えられます。

もう何十年も前の話ですが、あるアメリカの雑誌が、人間も含めた地上のさまざまな動物の種の、運動の効率に関する研究を行い、A地点からB地点へ最小限のエネルギーを用いて移動する時に、どの種が一番効率が良いか調べました。

結果は鳥類のコンドルが一番だったのですが、人間が自転車を使った場合、人間はコンドルの倍の効率を見せ、この結果について、スティーブ・ジョブズはコンピュータを次のように断言します。

「僕はパーソナルコンピュータと自転車とを比較したいのです。なぜなら、それは、人が生れながら持つ精神的なもの、つまり知性の一部を拡大する道具(ツール)だからです。個人のレベルでの生産性を高めるための特別な関係が、人間とコンピュータの関わりの中で生まれるのです。」

コンピュータが自転車なら、人工知能は自動車なのかもしれません。人工知能に使われる側ではなく、人工知能を使う側の人間になれば、生産性が上がり、労働時間も短くなるため、もっと、もっと家族との時間や趣味にあてる時間が増え、人間臭さや人間の創造性が引き出されていくことになるでしょう。

作業は人工知能に代行されますが、仕事は決して代行されないのです。

1.水野 操 「あと20年でなくなる50の仕事」(青春出版社、2015年) Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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