どれだけ経済的に豊かになっても、地域の人間関係が薄くなったら、何の意味もない。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.45

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ハウスコムが支援させていただいているNPO法人「子ども広場あそべこどもたち」が主催するイベント、「子ども☆まん中☆サミット」が2017年11月19日に東京町田市にある「ぽっぽ町田」で開催されました。出店やユニークなアトラクションなど様々なものが設置され、子供からお年寄りまで、地元地域のたくさんの方々にご参加いただき、イベントに参加したハウスコムのスタッフも非常に有意義な時間を過ごすことができたようです。

私たちは地域、学校、そして会社など様々なコミュニティに属しながら生活しているわけですが、普段、住んでいる地域から離れている場所で働いていると、どうしても仕事が生活の中心になってしまいます。こうなってしまうと、意識的に地域と関わり合う場を持たない限り、地域の共同体意識はどんどん薄くなってしまう一方だと言えるでしょう。

ほんのひと昔前、私たちが子供だった頃は、「地域の結びつき」や「地域で団結」なんて言葉をわざわざ口にしなくても、すれ違えば普通に挨拶をし、ある子供が間違ったことをすれば、近所の人たちがしっかりとその子を叱り、何か困ったことがあればお互い様の精神で助け合って生活していくのが当たり前でした。

しかし、近年では経済の発展とともに世の中は合理化され、人と接しなくてもスーパーやコンビニでモノが買え、地域のお祭りや行事に参加するよりも自宅でゲームやテレビを見たりして楽しむようになって、子供の遊び相手も、人間や自然からPCやスマホに変化してきました。家族以外の人たちの関わりが極端に減ってしまったことで、地域の「社会力」というものが目に見える形で低下してしまったんですね。

確かに、ひと昔前のように国をあげての経済成長が日本人の幸福に直接結びついた時代は、多少地域との関係が薄くなっても、多くの人は会社という「コミュニティ」に居場所をつくればよかったのかもしれません。しかし最近は、そもそも経済成長自体が人々の幸福には直結しないことが徐々に明らかになってきました。そこで、ハウスコムでは地域に密着したローカル店舗の強みを活かして、地域の人たちがつながり合えるキッカケづくりをどんどん支援していきたいと考えています。

病気を治すのではなく、病気にならないようにするにはどうしたらいいかを研究する「予防医学」の研究によれば、人間の健康に一番大きな影響を与えるのは運動でも食生活でもなく人と人の「つながり」で、つながりが少ない人は死亡率が2倍になり、たくさんのつながりを持つ人ほど長寿命なのだそうです。

また、子供たちの遊びには、時間、空間、そして仲間の3つの「間」が必要だとよく言われます。具体的には、放課後(時間)に空き地や公園や河原など、子どもたちが思い思いの場所(空間)で友達(仲間)と暗くなるまでのびのびと遊ぶ、といったことが自然発生的に起こる、これが本来の子どもたちの「遊び」だということです。

ところが最近は、「何かあったら困るから」と、事故と苦情にならないことを大人たちが優先してしまっている場面が見受けられるようになりました。ほんの小さなかすり傷でも親や先生が大げさに騒いだり、ちょっとでも不快に感じれば通報すると言ったように、子供の成長の糧になる3つの「間」を大人がどんどん奪ってしまっているのかもしれません。

まだ日本に農業や自営業が多かった時代は、子供に対して家族や地域からしっかりとした役割が与えられ、子供がすでに社会性を身につけた大人の仕事を手伝うことで初めて人間というものを知り、人間を好きになって、人間の集まりである社会に関心を向けていったものですが、現在では会社の仕事である「サービス業」を通じて、大人が子供と接するようになってしまったため、彼らは何かが起こっても責任を取らなくても済む形でしか子供とコミュニケーションを取らなくなってきてしまっているように思います。

筑波大学の教授であった門脇厚司先生によれば、人間の脳は、5歳、6歳の頃までに脳の働きの7割、8割ほどが育ち、その間に様々な人とかかわり合う環境を子供に提供してあげなければ、人と接しないことが心地よいと感じるように育ってしまい、その感覚がその子の一生を形成してしまうのだそうです。

サービス業やIT業が盛んな現代の地域コミュニティを、農業や自営業が盛んだった時のように戻すことはもちろん現実味がありません。

しかし、どれだけ時代が変わり、ライフスタイルが多様化しても、社会が群れであることは変わりありませんから、今回の「子ども☆まん中☆サミット」のように、企業、地域の人々、そして子供が自然に交わるキッカケを意識的につくることで、時代に合った地域の新しい群をつくっていく必要があることでしょう。

人間はつながりを失えば、すべてを失います。よく最近では、社会的に人間同士がつながることの良さが様々な実験や調査を通じて明らかになっていますが、よくよく考えてみれば、そんなことをわざわざ科学的に立証しなくても、当たり前なことだと言えるでしょう。

地元地域に根付いて、住まいを提供させていただいているハウスコムが薄くなってしまった地域社会の人々を結びつけるハブのような存在になれれば、これほど嬉しいことはありません。

今後も、全国164店舗総出で各地地元のこのようなイベントを支援していくつもりです。自治体が力を失ってしまったのであれば、日頃お世話になっている、私たちのような地元企業がしっかりと地域を支えながら、「ローカル・プレミアム」の価値をつけていくことが、これからの本当の社会貢献ではないかと私は考えております。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

 

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