部屋探しは必要に応じて行うものではなく、SNS感覚で毎日楽しみながらやるもの。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.42

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私たちが不動産業を通じて日々実感することは、住んでいる地域について付加価値の高い情報を一番多く持っているのは、実際にそこに住んでいる一般の人たちだということです。

部屋探しについてはよく「自分で決めることが多すぎる」と言われますが、果たして本当にそうでしょうか。実は他の人に決めてもらえることがたくさんあるかもしれません。

先日開催されたビジネスコンテスト「不動産テックを活用した部屋探しの新しいカタチ」の予選でも、一般に埋もれている価値の高い情報をもっとアクセスできるものにして、他の人の意見を部屋探しにどんどん盛り込んで行こうというアイデアが提案されました。

実は不動産賃貸を契約するまでには1ヶ月もの時間をかける人が珍しくありません。そのような人たちは、不動産屋の物件情報にアクセスしつつ、「他の人がどう思うか」を知るために親や友達に聞いて回るなどして手間も時間もかけているからです。

今回のビジネスコンテストで提案されたコンセプトも、物件情報のサイトで他者の意見を聞けるようにする「他者共有型の部屋探し」というものでした。

これは、部屋探しの際、閲覧している物件情報の家賃や立地、間取り、周辺環境などそれぞれの項目に対して、「いいね」「妥協」「これは厳しい」の3種のマークとコメントをつけることができるようするという提案でした。

こうすることで、例えば自分が気になっている物件の立地に対して「いい」と共感する人がどのくらいいるのか、またそのように自分と同じ気持ちの人がいるならば、一体どのような人たちなのかも知ることができるのです。

さらに、入居する部屋が決まった人に対しては、入居1ヶ月後に、家賃や立地、築年数などの項目において、実際住んでどう感じたかを「いいね」「妥協」「これは厳しい」でマークをしてもらいます。こうすることで、実際に住んでみた上での満足度が共有されるようにします。

新生活に向けて部屋探しをしている学生は大学周りの物件を中心に見ていくものですが、例えば大学からどのくらいの距離の物件の満足度が高いのか、実際に住んでいる・住んでいた人たちの感想を参考にして決める方が、何も知らないで飛び込むよりも安心ですよね。

宿泊予約のサイトで、「昨日この部屋を何人が予約しました」「今、何人がこのプランを見ています」といった情報を見かけることが増えているように、ユーザーが意思決定を行うとき、他者の動向に後押しされることは少なくありません。

「決めかねる」という停滞した状態を引き伸ばしがちなユーザーが多い不動産賃貸の場合も、他者が入ることでよりアクティブに動き出すようになるのではないでしょうか。

部屋探しというのは必要に迫られてやるもののように思われがちです。しかし、物件を軸にして一般の人が集まるサイトをつくって、人々が継続的に自分の暮らしを見直したり、より自分に合う部屋を探してみようと自発的に動くきっかけをつくったりすることができれば、私たちは住まいを通してもっと多くの方の人生の質を上げる役に立てるかもしれません。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

 

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