お年寄りの健康問題をIoTで解決すれば、「高齢者と若者の一体型シェアハウス」は実現する。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.41

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11月15日に開催されたハウスコム社のビジネスコンテスト「不動産テックを活用した部屋探しの新しいカタチ」の予選会では、参加した5チームの提案それぞれに、不動産のあり方を大きく変えるようなヒントがありました。

今日はチーム「Queen」による「ご老人と若者の一体型シェアハウス」という提案を、もう少し掘り下げてみたいと思います。

このシェアハウスは、若者がお年寄りの家事を手助けする等して、孤独死が発生しうる状況を出来る限りなくすサービスとして考えられたものです。

ちなみに現在「シェアハウス」の需要は右肩上がりで、ある調査によると東京23区内には17,923室のシェアハウスが存在し、稼働率は約80パーセントにもなるそうです。「できるだけ空室率を低くしたい」という、オーナーさんが常に気にする課題へのひとつの答えになっていますね。

タフで身軽な若者にとって「シェア」は合理的な選択であり、ニーズが高いことも間違いありません。
しかしこの、チーム「Queen」のビジネスプランにおいて忘れてはいけないことは、メインで住むのは高齢者の方だということです。

生涯医療費のうち70歳以降にかかる金額の合計は、平均で1250万にもなるそうです(2013年、厚労省調べ)。高齢者になれば誰もが何かしらの健康不安を抱えて生活しているということがデータからもわかります。

彼ら・チーム「Queen」は、高齢者の方々が抱えるこのような不安の解決策として、シェアハウスに泊まりに来る若者が格安で泊まれる代わりに高齢者の見守りを補填するというものでした。健康上何ら問題のない高齢者の方にはそれで十分かもしれません。しかし例えば何かしら健康上お困りの方に対しては、少し心もとないサービスかもしれません。さらに、滞在中の若者への負担も大きいでしょう。

それでは、そういった部分の解決策をもっと具体的に考えてみましょう。

彼らの提案における「シェアハウス」では、若者たちが「お年寄りの異変に気づく」という仕事を請け負っているわけですが、こういった「何かおかしい」という異変を察知する仕事は、人の代わりにセンサーで対応が可能になってきています。

たとえば、家にある冷蔵庫はいつ も電源が入っていますよね。365日24時間フル稼働、しかも、旅行にでも行っていない限り毎日触るものです。

つまり冷蔵庫の開け閉めという動きをセンサーが感知していれば、家にいる予定の日に、いつもであれば開け閉めされるはずの冷蔵庫が開けられていないという場合、「何かおかしい」として警告を発することができるんですね。

今回は冷蔵庫を例にあげましたが、このように生活に密着したモノ(Things)がインターネット(Internet)によって人と繋がっている環境(IoT:Internet of Things)をシェアハウスに整えておけばよいのです。誰も図り知らないところで高齢者の方に何かあったとしても「何かおかしい」とセンサーが察知してくれるので、警告があった後だけ人間、若者が行動すればいいわけです。

このように、高齢者の方の健康を四六時中見守る役目はテクノロジーが担い、あとは昔ながらの「持ちつ持たれつ」といった、人に寄り添い、慈しみあう心さえあれば…。
孤独死されてしまうリスクを避けるために入居を断られてしまう高齢者がいるという現状は、近い将来解決できるようになるでしょう。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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