「競争」ではなく、「共創」をする。読み方は一緒でも意味は正反対です。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.35

最近は、どんな業界の経営者と会話していても、「イノベーション、イノベーション」という言葉が尽きません。

どの企業も右肩上がりの成長が終わり、成熟した市場の中で何とか次の成長の起爆剤となる商品やサービスを社内で生み出そうとしていますが、なかなか新しい市場を開拓できず、成長の限界を感じているようにも見えます。

特に日本企業の悪い癖として、外部の力を借りず、何とか自社の力だけで独自のものを作ろうとする傾向があるのも事実ですね。

ところが、現在急成長している海外のサービス、Airbnb、Uber、Netflix、そして日本でもコマツやいすゞ自動車など様々な企業が、自社だけで新しいものを作ろうとするのではなく、社外のリソースを上手く活用することで、成熟社会でも息切れすることなく成長し続けています。

今回は「実践するオープンイノベーション」という本をご紹介させて下さい。

すでに多くの大企業が感じていることですが、テクノロジーの急激な発達により、これまで大企業がつくっては維持してきた市場が、業界のルールさえも変えてしまうイノベーター達によって少しずつ崩され始めています。

しかし、大企業の立場に立った時、果たしてイノベーターたちと「競走」することは正しい戦略と言えるのでしょうか。

私はそんな無駄な消耗戦を行って「競争」するよりも、大企業とベンチャー企業がお互い「共創」して新しいものを生み出す方がとても理に適っているように思います。「競争」と「共創」、読み方は一緒ですが、意味は全然違いますよね。

データが示す通り、2009年にはイノベーションを測る調査で世界3位の実力を誇っていた日本は、2016年時点で世界24位にまで降格して、すでにイノベーション後進国に成り下がってしまっています。

イノベーションとはテクノロジーの力とアイデアだけでは達成することはできません。それを実行する人間性を持った人と一気に成長する規模があってこそ世界に挑戦できる新しいものを生むことができるのではないでしょうか。

偶然性を意識した「競争」ではなく、「共創」、この後の新しいものを生み出すキーワードになっていきそうです。

◆トーマツベンチャーサポート 「実践するオープンイノベーション」 (日経BP社、2017年) Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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