残業して業績が上がっても、長時間働けば勝つのはあたりまえ。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.14

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最近、皆さんは何時ぐらいに家に帰っていますか?

日本からは、遥か遠い北欧の国スウェーデンでは、労働時間を8時間から6時間に減らすという試みが行われていると言います。

興味深いことに、スウェーデンでは働く時間が短くなったことで仕事の効率が上がったそうです。さらには、従業員のモチベーションも上がったという報告が相次いついでいるというのだから、人間の心理というのは本当に不思議なものですよね。

日本の人口が増え続けて、世の中がモノやサービスに飢え、作れば作っただけ売れた時代であれば、「働いた時間=結果」という単純な方程式が成り立ったのかもしれません。

ですが、今は人口は減り、モノやサービスが右肩上がりでは売れなくなる時代であることは、皆さんもご存知の通りです。

このような時代には、人間一人あたりの時間単価が高騰するため、なるべく短時間で高い付加価値を出せる企業が業績を伸ばすことができるということを心得ておいて下さい。

高い利益を上げながら、会社を成長させていくには、創造性やイノベーションと言ったものが、もちろん不可欠です。

だけど、付加価値の高いアイデアを生み出すためには、ワーク・ライフ・バランスで言う、「ライフ=仕事以外の日常の生活」でアイデアをインプットし、「ワーク=通常の仕事」の場でアウトプットする反復運動を徹底的に繰り返さなければなりません。

こういった日常と仕事の狭間から新しいことというのは、生まれていくものなのです。

伊藤忠さんが2016年3月期で過去最高益を記録し、三菱商事さんや三井物産さんを抑えて、初の業界首位になったというニュースを聞かれた方も多いと思います。伊藤忠さんは24時間働いて当たり前という商社の世界で、2013年より20時以降の残業を原則禁止しました。

当初は、社内から業績が下がるのではないかという懸念も大きかったようです。しかし、伊藤忠さんの従業員の方々は限られた時間の中で仕事をし、仕事の仕方を見直すことで、8時間でする仕事が6時間でできるようになったと言います。

さらには、ジムに行く時間も確保できるようになって、12キロも痩せることに成功した方もいるというのですから、人間、考え方一つで働き方なんかは大きく変えられるものなのです。

特に、できるだけ短時間で働くことが美徳とされている北欧諸国では、残業している人は頑張っている人と思われるどころが、「仕事ができない人」、「生産性を上げる気がない人」と思われてしまうんですよ。

社長に就任後、19年連続で増収増益を達成した元トリンプ・インターナショナル・ジャパンの吉越浩一郎さんも本の中でこんな風に言ってます。

「同じ条件で競うからこそ、勝っても負けても面白いのです。いくら残業して『勝った! 勝った!』と胸を張ったところで、そんなのはルール違反、長時間働けば勝つのはあたりまえ。そう切って捨てられるのが世界の常識なのです。」

仮に残業して、日本経済が良くなったとしても、個人が疲労してしまっていては何の意味もないでしょう。時代と共に働き方も大きく変わっていきます。この変化に上手く適合できる企業だけが業績を伸ばしていけるんです。

■参考書籍

◆小室淑恵「労働時間革命 残業削減で業績向上! その仕組みが分かる」(毎日新聞出版、2016年)Kindle ◆小室 淑恵「なぜ、あの部門は『残業なし』で『好成績』なのか? 6時に帰る チーム術」(日本能率協会マネジメントセンター、2008年) ◆吉越 浩一郎「『残業ゼロ』の仕事力」(日本能率協会マネジメントセンター 、2007年)

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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