次世代の営業マンは「問題を解決する人」ではなく、「問題を発見する人」<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.12

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従来、優れたビジネスパーソンとは、お客様やクライアントの問題解決に長けた人だと、長年言われてきました。

問題解決のスキルは、もちろん今でも大事ではありますが、飛行機のチケットの値段からマンションの家賃まで、多くの人が世の中の情報にアクセスできる現代では、お客様の問題を「解決」するスキルよりも、問題を「発見」するスキルの方が明らかに重要になってくることが予想されます。

例えば、不動産にしても、上京してきたばかりでお金があまりなく、できるだけ家賃を抑えた住まいを探している若者がいたとします。もし、ただ家賃が安い賃貸を探しているのであれば、わざわざ不動産屋に相談しなくても、自分でウェブで検索して、予算にあった部屋を探すことができるでしょう。

しかし、場合によってはお客様が問題を取り違えている可能性があります。つまり、お客様の本当の問題は、安い賃貸を探すことではなく、日常の生活のコストを抑えることであり、例えば、キッチンの広い物件を紹介すれば、自炊することができますし、都心でもバイト先に近いシェアハウスであれば、交通費を抑えることができます。

日本では、与えられた問題をできるだけ早く解ける人が偉いという認識がありますが、数学や科学の世界などでは、「問題を解いた人」よりも「問題提起した人」の方が偉いという認識があり、お客様やクライアントの問題を解決するのではなく、問題を「発見」するためには、とにかく質問上手にならなければなりません。

孔子によれば、同じ質問をしても相手によって、答えが違うのは、質問に答える側の人が、相手のレベルを見通して答えを言っているからで、質問者のレベル次第で、引き出されるものが全然違ってくると言います。

「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続で、総合1位を獲得している温泉旅館の加賀屋(石川県)もお客様を客室に案内するまでの会話の中で、お客様が何を求めているかを探ると言いますし、かのスティーブ・ジョブズも休暇で、フランスやイタリアを訪れて、上質な小売店に入ると、「商品を並べるのに使う空間がとても少ないのはなぜか」、「客は店内をどうゆう風に流れるのか」など、店員を質問責めにするのだと言います。

仮に自分に実力がなくても、質問の仕方が上手ければ、人はどんどんあなたにいろいろなことを教えてくれることでしょう。その会話の中にイノベーションの大きなヒントが隠されているのではないでしょうか。

■参考書籍

1.ダニエル・ピンク 「人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する! 」 (講談社、2016年) P141〜142 2.茂木健一郎 「最高の結果を引き出す質問力:その問い方が、脳を変える! 」 (河出書房新社、2016年) Kindle 3.斎藤孝 「質問力 ちくま文庫」 (筑摩書房、2006年) Kindle 4.細井勝 「加賀屋の流儀」 (PHP研究所、2015年) P111 5.ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ 「スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(下)」 (日本経済新聞出版社、2016年) Kindle

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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