自分の好きなことで達成感が感じられると、同僚の好きなことも尊重できるようになる。

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9月に娘と二人で富士山に登ってきました。最初は、ハイキングみたいな感じで気楽に登れるものだと思っていたのですが、雨や風が強く、両手を使ってよじ登らなければならないところなどもあったため、想像以上に大変でした。

登山というのは、大自然の中で重い荷物を背負いながら、一緒に登る人と破調を合わせる必要があります。娘よりも体力がある私と、私よりも登山の経験がある娘が上手くテンポを合わせて、一定のリズムで頂上を目指していかなければならないため、様々なバックグラウンドを持った人が、組織の中で同じゴールを目指して行動する会社経営と登山は非常によく似ています。

私一人であれば、私一人の判断で、どのくらいのペースで登って、どこで休憩を取り、雨が降っても登り続けるか、それとも待機して少し様子を見るかを決めることができます。

しかし、共同作業である登山は、時に人生経験が豊富な私が先頭に立って進路を判断し、時に私は娘の後ろに回って、娘に判断を委ねることで、協力し合って頂上という共通のゴールを目指していくため、登山を終えて自宅に帰った時には、登る前よりも娘との距離が近くなったような気がしました。

一番近い存在である家族でさえ、意識してお互いのリズムを合わせなければならなかったのですから、ハウスコムのような1000人規模の組織で、生まれも育ちも違う人たちが一緒に登山をするのはチームビルディングの良い勉強になるでしょう。

日本の社交の場と言えば、ゴルフが当たり前とされてきましたが、近年、急成長を遂げている企業はゴルフの代わりに登山に行くことを習慣にしているところも多いのだそうです。例えば、楽天さんでは、毎年恒例であった役員幹部のゴルフ旅行を数年前に取りやめて、毎年、谷川岳に登ることで、お互いの親交を深め、チームとしての結束力を強くしていると言います。

無機質な都会で暮らしていると、道端でちょっと肩が当たったり、レジで人が割り込んできただけでイラッとしてしまいがちです。ところが、大自然の中で頂上という同じゴールを目指して登っていると、すれ違う登山者には自然と挨拶ができますし、山小屋では娘と普段できないような会話が不思議と少しずつできるようになっていきます。

やはり、1+1+1+1+1=5ではなく、1+1+1+1+1=10、もしくは100の組織にしていくためには、同僚の仕事内容や売上などだけではなく、同僚の家族や趣味、そして、将来の夢など、仕事以外のもっと深いレベルまでお互いを知る必要があり、業務以外の接点を持つことで初めて強い絆が生まれていくのではないでしょうか。

また、登山は登っている時が辛ければ、辛いほど、頂上の景色がきれいだと言う言葉の通り、富士山の頂上に着いた時には、何とも言えない大きな達成感がありました。営業や経営という仕事は、嫌でも月ごと、四半期ごと、そして、年度ごとに業績という成績表が出てきて、仕事に対する達成感というのはある意味いつでも味わうことができます。

しかし、ハウスコムの社員の方々には、私が富士山で体験したような「仕事以外での達成感」をもっと感じてもらいたいです。例えば、ある人の達成感はフルマラソンを完走することかもしれませんし、またある人の達成感はアマチュアの写真コンテストで入賞すること、もしくは、自分で一生懸命つくった野菜を誰が食べてもらうことに大きな達成感を感じる人もいるかもしれませんが、仕事以外での達成感は人それぞれ違ってもちろん構いません。

そうやって自分の好きなことで達成感が感じられるようになると、同僚の好きなことも自然と尊重できるようになっていき、いま以上に多様性を意識し合う強い組織になっていくことができるのです。

営業という職種に置いて、業績が大事なことは言うまでもありませんし、私も営業を長く経験した人間なので、売上というものを通じて多くの達成感を得てきました。

しかし、今回、娘と富士山に登ってみて、久しぶりに仕事以外で達成感を感じ、こういった仕事以外のところでも、人生のQOLを上げていく方法があるのだなと感じました。

来年はぜひ、経営陣と新入社員一同で登山に行ければと現在いろいろと計画をしています。今年の5月にエベレスト登山中にお亡くなりになった栗城史多さんは「楽しくなかったら、下山しろ。」と仰っていましたが、登山にしても、フルマラソンにしても、もしくは農業にしても、達成感を得るためには苦しくて、きつい場面を何度も何度も乗り越えていかなければなりません。

しかし、こういった苦しいプロセスをいかに楽しめるかという部分が、登山にしても、営業という仕事においても本当に大切になってきます。

むしろ、仕事で超えられない限界を登山やフルマラソンなどの仕事以外の分野で超えるようにすることで、その人自身が成長し、職場という環境だけでは達成できなかったこともどんどん達成できるようになってくることでしょう。

ビジネスの限界は、ビジネス以外のところで超える、これぐらいの気持ちで自分の好きなことに夢中になってみて下さい。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。2016年度、中央大学商学部客員講師に。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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