ボスニア・ヘルツェゴビナにスポーツアカデミーを設立する。宮本恒靖氏の挑戦がぶつかった壁とは・・・ vol.3

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モスタルにてスポーツアカデミーが開校

元サッカー選手・宮本恒靖さんを発起人に立ち上がったプロジェクト「マリモスト(現地語で小さな橋)」。民族対立の根深いボスニア・ヘルツェゴビナに、子どもたちを対象にしたスポーツアカデミーを設立しようと、2013年8月から活動が始まりました。

2016年10月に、モスタルにてスポーツアカデミーが開校し、スポーツを通して民族融和を目指す活動が本格化します。宮本さんが、FIFAマスターの修士論文で発表した内容をもとに動き出した「マリモスト」の壮大なプロジェクト。進める上でどんな苦労や面白さがあったのでしょうか。。

現地のスポーツ協会に勤めるジェナン

スポーツアカデミーの場所がSCカンタレバッツに決まったのが2014年5月でした。現地のスポーツ協会やクラブチーム、市長への地道な普及活動により、「マリモスト」への理解が少しずつ深まっている実感はありましたが、実際に動くとなるとさまざまな問題があります。

日本で設立した特定非営利活動法人Little Bridgeのメンバーも、修士論文を一緒に作ったFIFAマスターのメンバーも、現地に住んでいるわけではありません。「子どもたちにサッカーを教えるコーチはどうやって集めるのか」「マリモストの活動を周知させるために、現地で誰が動くのか」「どの民族がやるのか」など、現地での人材確保に関する問題は切実でした。

誰になら信頼して任せられるのか。頭を抱えていたとき、自ら手を挙げてプロジェクトに飛び込んできたメンバーがいました。現地のスポーツ協会に勤めるジェナンです。地元の人脈があり、「スポーツを楽しむことで民族融和につなげたい」という思いに深く共感してくれたジェナン。彼の登場により、活動がぐっと具体的に進んでいく期待感が高まりました。プロジェクトが動き出して約1年後のことです。

活動の一環として、地域のグラウンドや学校を借りてサッカークリニックをやると、かつて民族対立があったとは思えないほど、子どもたちはイキイキとボールを追いかけます。そのとき初めて、「自分たちが思う理想を実現できるかもしれない」と感じたのを覚えています。

「本当にできるかもしれない」

2015年1月には、駐ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使とモスタル市長の間で,スポーツアカデミーの活動場所となるスポーツ施設(SCカンタレバッツ)改修支援についての贈与契約署名式も終わり、いよいよ形ができていきました。しかし、それと同時に、アカデミーの活動予算をどう確保するかという難題も降りかかってきました。

「本当に完成するの?運営していけるの?」という周囲の懐疑心を取り除くためにも、予算確保は必至。サッカークリニックを定期的に行うために、コーチ陣の人件費、施設の使用料、運営費をどう確保するか。今もこれからも向き合うべき課題ではありますが、クラウドファンディングを通して多くの方から支援をいただくなど、活動を継続するためのサポートに恵まれながら、一歩一歩進んできた実感があります。

取材協力:エートゥジェイ

<フリーライター>
取材・文:田中 瑠子

<プロフィール>
株式会社リクルートで広告営業を3年間経験。のち、幻冬舎グループで2年間の書籍編集を経て、フリーランスの編集・ライターに。東京ヤクルトスワローズのオフィシャルライターとして選手、監督インタビューを3年間行い、人物インタビューの経験を積む。同時に、実用書、ビジネス書、雑誌の執筆を幅広く手掛ける。

Little Bridge:活動を支える

サービス・イノベーション室:安達

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