健康や幸福を害し、誰かの犠牲の上にたった利益など、社会的価値のある利益ではない。<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.15

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一般世間的に知られているグーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできるようにすること」ですよね?

でも、実は1998年の会社創設以来、もう一つ、「世界でいちばん健康で、幸福、かつ生産的な組織になる」という、別のミッションが掲げられていたことをご存知でしょうか。

リストバンド型の活動量計を製造しているジョウボーン社が何千人もの人から収集した睡眠データによると、世界で最も睡眠時間が短い都市はなんと、5時間45分の東京なんです。

資本主義の単純な構造から言えば、「寝ている1時間」とは、「働いていない1時間」という概念でしかありません。つまり、資本主義の中では、寝ている時間など全く価値のないものだと考えられるわけです。

もちろん、短期的な視点で成功の定義をお金や地位だと考えれば、寝る時間を1時間削って、1時間多く働くことは理にかなっていると言えるかもしれませんね。

だけど、成功の定義を健康や幸福として捉えるのであれば、果たしてそれはどうでしょうか?

アメリカでは、睡眠不足によって失われた生産性は、年間約6兆3000億円に上ると言われています。科学誌サイエンスのリサーチによれば、睡眠不足の人が毎日もう1時間睡眠を取るようにすれば、収入が600万円増えた時よりも、幸せになれるという話もありますよ。

長期的に考えれば、従業員の健康と企業収益の健全性には深い関係があるんです。この2つを分けて考えれば、従業員も企業全体も大きな代償を払うことになります。

アメリカ製薬・医療機器の大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、従業員の幸福に1ドル投資することが長期的に4ドルの利益を生み出すと言ってますから、従業員の幸福度が上がることは会社としてもどんどん投資していこうと思っています。

もちろん、会社の売上や利益は多いに越したことはありません。しかし、健康や幸福を害し、誰かの犠牲の上にたった利益など、とても社会的価値のある利益だとは言えないでしょう。

グーグルが証明してくれた通り、世界でいちばん健康で、いちばん幸福な会社が圧倒的な生産性を維持することができるのだと、私は考えています。

■参考書籍

◆荻野淳也、木蔵シャフェ君子、吉田 典生「世界のトップエリートが実践する集中力の鍛え方 ハーバード、Google、Facebookが取りくむマインドフルネス入門」(日本能率協会マネジメントセンター、2015年) ◆アリアナ・ハフィントン「スリープ・レボリューション 最高の結果を残すための 『睡眠革命』」(日経BP社、2016年) ◆アリアナ・ハフィントン「サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功」(CCCメディアハウス、2014年)

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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