フリーアドレスを徹底的に楽しもう「世の中に100パーセントいいことも、100パーセント悪いこともない。」<田村 穂>-コラム Serendipity-Vol.11

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ハウスコム本社は基本的にフリーアドレスです。毎日、違う席で仕事して、社内に新しい循環と企業文化を作り出していきましょう。

20世紀のオフィスというのは、まず何より「生産性」、「効率性」が重視されてきたんです。どの企業もそうですが、今まで係長、課長、そして部長と役職ごとに机を並べて仕事をしてきたでしょう?

これは、何か新しいことを生み出すために時間を使うというよりは、部下が無駄話しをしたり、サボったりしないように「監視・管理」することに多くの時間を使っているということになります。

このような「監視・管理」が中心のワークスタイルは18世紀の半ばから始まった産業革命の時代の働き方として設計されたものなんです。もう、200年近く、私たちの仕事の仕方は変わっていないわけですね。

大量生産、大量消費で経済が回り、働けば働くほど結果が出る、つまり、「時間=成果」の評価軸で世の中が動いた20世紀であれば、「監視・管理」はしっかりと機能するワークスタイルでした。

しかし、極端に言えば、「あなたは何時まで働いて下さいね」、「あなたの席はここです」など、ある意味、企業はもうすでに立派な大人である従業員を子供扱いしていたんですね。小学校や中学校みたいに。

上司が部下を常に固定の席に座らせて、見張っていないと不安なのは、企業文化が極端に弱いせいだとも言えるでしょうね。

もし、しっかりと会社のビジョンが明確になっていれば、あなたの部下は毎日同じ席で上司に監視されながら仕事をしなくても、自ら自己管理をし、放っておいても企業の方向性に見合ったやり方で成果を出だしていくことができるはずです。

かのスティーブ・ジョブズは、社内で人と人がばったり偶然会って、コミュニケーションが生まれ、新しい頭脳と頭脳がぶつかり合い環境を作り出すために、トイレを1個しか作らない案を出したこともあるそうです。

せっかく同じ空間を共有していても、半径5メートル以内の人としかコミュニケーションを取らないのであれば、生産性は伸ばすことはできても、新しいアイデアが生まれる創造性を刺激することはできないでしょう。

もしかしたら、明日はいつもとは違う席で、普段は一緒に仕事をしない人の横で仕事をすれば、問題がいつもより早く解決して、15分でも30分でも、いつもより早く家に帰れるかもしれません。

グーグルのオフィスには、「150フィート・ルール」というものがあるそうです。グーグルのオフィスは、どこにいても150フィート(45メートル)以内で食べ物にありつけるように設計されています。

これは、食べ物をフックにして、社員同士のコミュニケーションを増やす目的で行われているみたいなんですが、このルールは約60年前に行われたあるリサーチを参考にして考えられたものなんだそうです。

「150フィート・ルール」のもとになった調査は、1950年にマサチューセツ工科大学の寮で、人間関係がどのように構成されていくかということを調べたものでした。

この調査によると、寮の中で「親友は誰か?」という質問に対し、約41パーセントの人が隣の部屋の住人だと答えて、部屋が遠くなればなるほど、その数は減っていったと言います。

この調査によって、次のような結論が導き出されました。

「一般に、人が友人になるのは、互いの考え方が似通っていたり、共感できたりするからだと考えられていますが、実際には、人は顔を突き合わす回数が多いと、互いの考え方が似通ってきて友達になるのではないか。」

もちろん、今までずっと固定の席で仕事をしていたのに、いきなりフリーアドレスで自由に仕事をして良いと言われても、戸惑うこともあるでしょう。

でも、世の中に100パーセントいいことも、100パーセント悪いこともないんです。意識しなければいけないことは、いいところや新しいところを徹底的に楽しみ、悪いところやダメージを少しでも減らしていくこと。こういう概念を持つことが本当に大切なんです。

■参考書籍

◆柴沼俊一、瀬川明秀「アグリゲーター 知られざる職種 5年後に主役になる働き方」(日経BP社) ◆ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン「強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える『働き方革命』」(早川書房、2014年) ◆ブレント・シュレンダー、リック・テッツェリ「スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで(下)」(日本経済新聞出版社、2016年) ◆牧野 武文「Googleの哲学」(大和書房、2014年)

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

サービス・イノベーション室:安達

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