慎重すぎて、やる事が少ない会社より、動きが速すぎて、やる事が多すぎる会社にしていく。

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7月に中国の北京にベンチャー企業の視察に行ってきました。ベンチャー企業といっても、アリババ、テンセント、バイドゥなどは私たちハウスコムよりも社歴が浅いにも関わらず、時価総額ランキングではグーグルやフェイスブックに迫る勢いで成長しており、中国のスピードの速さ、スケール、そして物の考え方には本当に驚かされました。

例えば、私などは、これからは自動運転が普及するなんて聞くと「おお!これからは、自動車を運転しなくていいから楽になるな!」、自動翻訳機ができるなんてニュースを見ると「おお!もう海外のレストランやホテルで困らないな!」などと当たり前のことを考えてしまいます。

しかし、今回訪問した中国ベンチャー企業の方々は、もう5年以内に自動運転や自動翻訳機が世の中に普及する前提で物事を考えていて、「自動運転や自動翻訳機が普及した後、世の中はどうなるだろうか?」という視点でサービスなどをつくっているため、同じ空間にいても私たちとは全く別世界で物事を考えているように感じました。

もう、自動運転や自動翻訳機がどうこうという話ではなく、「移動」や「コミュニケーション」という事の概念を大きく変えてしまおうとしています。

日本のITの世界には、犬の人生の短さで物事を考えるドックイヤー(イヌの1年は人間の7年に相当する)という概念がありますが、中国のベンチャー企業のスピードはドックイヤーどころではなく、ネズミの人生の短さで物事を考えるマウスイヤー(ネズミのの1年は人間の18年に相当する。)で動いているのではないかという印象を受けました。

中国では部長クラスで年間200〜300億円の決裁権があり、短期間で結果を出さないとすぐに切られてしまうため、一旦持ち帰って社内で相談するということはまずありません。その場で話を決め、部下の人達も、とにかく動き始めて、後で上司の許可を取るぐらいのスピード感覚で動いているのではないかと思います。

国の役人も3年以内に成果を出さないと上に行けないという仕組みがあって、結果を出すためであれば国がどんどん企業に投資し、企業が自動運転やシェアリングの自転車の仕組みを街に作りたいから法律を変えてくれと言えば、すぐに動いて結果に結びつけていきます。

「自転車がパンクしたら、どうするんですか?」と質問すると、「これは全部ゴムなんでパンクしないんです。」と言って、自転車には最先端のソーラーをつけておきながらタイヤは原始的なゴムでできていたりと、とにかくあれこれ考える前に物事を前に進めようとするパワーがグーグルに迫る勢いで成長している大きな要因なのでしょう。

北京の小さいベンチャー企業が集まるシェアオフィスも訪問しました。ある企業は日本の企業を買収して、日本のゲームセンターにあるようなUFOキャッチャーのWeb版をつくり、実際にコンピューター上で操作するとリアルの場のUFOキャッチャーが動いて、物が取れるとそれが実際に郵送されてくるのだと言います。私たちの発想では、「その絶対に上手くいかないよ。」とか、「そんなふざけたアイディアでどうやってマネタイズするのか?」と考えてしまいますが、情熱さえあれば、必ず突破口は開けるといった眼差しで、ほんの少し同じ時間を共有しただけでも何か熱いものを感じられずにはいられませんでした。

こういったスピード、スケール、物の考え方は私以上に、社内の若い人に感じ取っていただきたいです。12月にハウスコム社内でビジネス企画コンテストがあり、新人、年配に関わらずいいアイディアを持っている人には、中国でも、アメリカでも、どんどん研修に同行してもらって、最先端の場所の空気を自身の肌で感じてもらえる機会を設けたいと思っています。

今回訪問した企業の一つ、アリババの創業者であるジャック・マーは、もし虎が後ろから追いかけてきたら、自分でも思ってもみなかったスピードで走れるのと同じように、どんな人でもまだ発揮していない潜在能力が眠っているのだと言います。

まだ、ハウスコムの人達も自身の潜在能力の半分も出せていないことでしょう。これからは海外なども含めた新しい環境にどんどん触れてもらって、中国に比べたら小さい規模ですが、アイディアを出し、予算を取って、まだ試験段階でもスピード感を意識しながら、どんどん新しいサービスをリリースしていくという「生態系」をハウスコム 社内でもつくっていかなければなりません。

慎重すぎて、やることが少ない会社より、動きが速すぎて、やることが多すぎる会社からしかイノベーションは生まれませんから、10倍のスケールで計画し、5倍のスピードで動いて、2倍の結果を出すぐらいの気持ちで進めていかなければ、とても中国のベンチャー企業とは同じ土俵で戦えないことでしょう。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。中央大学商学部客員講師。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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