第二回学生ビジコン「『あなたはどうかしてる』と言われたら、いい線行っている証拠。社会経験や余分な知識がないことが一番の強み。」

  • Twitter
  • Facebook

今年も昨年に引き続き、ハウスコム主催で大学生を対象にしたビジネスコンテストを開催致します。先週はビジコンに参加する学生の皆さんと審査員の方々にお集まりいただき、ハウスコム本社でキックオフ・ミーティングを行いました。

昨年のビジコンで、優勝と準優勝に輝いたアイディアは、現在、ハウスコムの新規プロジェクトとして、様々なプロフェッショナルの方々とアイディアの具現化に向けて動き始めています。

今年も昨年と同様に「実現できるか、できないかは問題ではない。まだ、ビジネスの世界を何も知らないことが学生の皆さんの強みなので、不動産という領域だけに囚われず、挑戦的な発想でアイディアをどんどんぶつけてほしい。」と、私の方から挨拶をさせていただきました。

次に大東建託賃貸未来研究所の宗さんの方から、現在の不動産市場の状況や、2020年代、2030年代に向けて、日本の不動産市場はどのように変化していくのかついてお話いただき、不動産市場について、ほどんど知識のない学生の皆さんに不動産業界の現状を理解していただきました。

最近よく日本の人口が減るため、今後の日本の不動産市場も縮小していくのではないかという話を聞きます。

しかし、実際は、結婚しない人たちが増えていったり、仮に男女で住んでいるお年寄りが一人亡くなっても、世帯数は変わらないままであるため、少なくても東京や神奈川の世帯数は2035年ぐらいまで減少する傾向にはないのだと言います。

また、宗さんの分析によれば、現在、駅から1分遠くなると家賃は0.6〜0.7%下がるそうですが、自動運転が普及しスマホですべて操作できるようになると、距離というものの概念が無くなり、住まいや都市の構造を大きく変える可能性があるのだそうです。

そして、最近一般家庭にどんどん普及しているアマゾンエコーも住まいのあり方を大きく変える要因になるだろうと宗さんは指摘します。

テレビや照明を自動的につけてくれるだけではなく、人工知能の技術がどんどん進化していくことで、「Alexa、ニノやって」というと、嵐の二宮和也さんの声でアシストしてくれるようになるなど、家自体が一つの人格を持つようになってきます。

すると、家にいることが一種の安心感を作り出すようになるため、今よりも家にいる時間がずっと長くなったり、未婚率がさらに増えてくる可能性があったりと、そこに大きなビジネスチャンスがあるのではないかと宗さんは指摘しておられました。

最後に、宗さんからは、「自分たちはビジネスを知り尽くしてしまい、随分、歳も取ってしまった。私たちから見て、そのアイディアを実現するのは難しいんじゃないの?でも、そこまでやりたいと言うのであれば、ぜひ応援してあげたくなるような学生ならではの青臭いアイディアを自由に発想して下さい。」という言葉をいただき、学生の皆さんも少し安心したような表情でした。

むしろ、実現できそうにないアイディアを持ってこい「ケミストリーとセレンディピティを意識した者に、幸運は味方する。」

次に、日本大学スポーツ科学部の清水千弘先生に、AI(人工知能)、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)、そして、ブロックチェーンのような最新のテクノロジーが今後の不動産市場にどのような影響を与えるのかについて説明をしていただきました。

海外では、不動産テックの技術がどんどん目に見える形で不動産業界の構造を変化させています。

清水先生によれば、AIの技術によって建物の30年後の家賃や空室状況を予測できたり、VRの世界を作り上げることによって、何度も家を見に行かなくても仮想世界の中で生活を体験してもらい、バーチャル上で家具の配置を変えたり、光の入り具合をチェックしたりすることが今後はもう当たり前になっていくのだそうです。

また、ブロックチェーンと呼ばれる分散型ネットワークの技術が進むことで、不動産の取引や住宅ローンの査定が30分以内に完結できるようになったり、ドバイなどでは、リアルタイム・プライシングと言われる、家賃や建物の価格の変化が30分おきに表示される仕組みが現在開発されているのだそうです。

こういった新しい技術を自らどんどん調べることで、自身のアイディアの中に最新のテクノロジーを取り入れていってほしいと、清水先生は学生の皆さんにメッセージを送ります。

そして、住まいは人間の幸せの26.4%寄与しているという概念から、学生のどれだけ青臭いアイディアであっても、アイディア・キラーには決してならず、それを実現するための人的ネットワークやノウハウを提供してあげることが大人の役目だとして、むしろ、実現できないくらいのアイディアを持ってきてくれと清水先生はエールを送っていました。

最後は中央大学の榊原清則先生に、多様な人間が集まるチームの中で生まれるケミストリー(化学反応)と、偶然の作用が重なってイノベーションが生まれるセレンディピティ(偶然性)の概念についてお話いただきました。

複数の人たちが集まって、アイディアを生み出す場合、コミュニケーションの取り方によって上手くお互いの意見を交差させたり、ぶつけ合ったりすることで化学反応を起こさせることが大切で、ぶつかり合うことがない日本の伝統的な同一系集団のアイディアでは、恐らく残念な結果を招くことになるだろうと榊原先生は警告の鐘を鳴らします。

榊原先生は、学生の皆さんが個々でどんなアイディアを持っているかというよりも、その個々のアイディアをチーム内でどう上手くブレンドさせ、若さゆえの挑戦的なアイディアを生み出せるかに期待していると学生に向けてメッセージを送りました。

また、ずば抜けた結果を出すためには、セレンディピティを味方につけることが大切で、ただひたすらに頑張るだけでは、良い結果が望めない可能性があると言います。

偶然性は誰にでも平等に訪れるわけではなく、特定のマインドセットを持った人だけに味方し、榊原先生はフランスの細菌学者ルイ・パスツールの「Chance favors the prepared mind(幸運は待ち受ける心に味方する)」という言葉を何度も何度も強調されておりました。

特定のマインドセットとは向上心なのか、それとも、チーム内の協調性なのかは定かではありませんが、きっと、どうしても成し遂げたいという気持ちの要素がケミストリーやセレンディピティを起こすには不可欠で、その要素をこの短期間で作り出せるかどうかが榊原先生の一番期待するところなのでしょう。

私たちの深い経験と、若い学生の浅く広い経験が交わるところにイノベーションは生まれる。

アメリカの著名な科学者、トーマス・クーンによれば、本質的な発見によって、新しいイノベーションを起こせる人のほとんどは、年齢が若いか、その業界に入って日が浅い人なのだと言います。

また、ジブリの宮崎駿監督も毛沢東の言葉を引用して、「若いこと、貧乏であること、無名であることは、創造的な仕事をする三つの条件」だと仰っていますが、やはり私たちのように年齢を重ね、業界内での成功体験が増えるにつれて、過去の成功例に答えを求めてしまい、飛び抜けたアイディアを出すことは簡単なことではありません。

きっと、私たちのように不動産業界に何十年もいる人間が持っている深い経験と、まだ社会のことをよく知らないけど、常に流行に敏感な学生ならではの広く浅い経験が交わる部分にイノベーションは起こるのでしょう。

現在の知識で、5年後に使えるものはたったの15%程度だと言われ、かつては一つのビジネスモデルに20年、30年の寿命がありましたが、今では10年もつことでさえ、夢物語に近いことのように思えます。

そう言った意味では、企業は従来のビジネスモデルが失われるよりも速いスピードで、新しいものを生み出していかなければなりません。

ハウスコムの社内でも、若い人たちがどんどんアイディアを出し、ビジネス経験が豊富な人たちがしっかりマネタイズに繋げて、次の事業に新たに投資していくと言ったような好循環を生み出していく必要があります。

私たちが学校を出た時代は、自分に合った仕事を探す必要がありました。しかし、今回ビジコンに参加してくれた学生が大学を卒業する頃には、自分に合った仕事を「自ら創り出す力」が世の中から求められることでしょう。

今回のビジコンが、新しい時代に挑戦するための良い準備運動になれば幸いです。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。2016年度、中央大学商学部客員講師に。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

  • Twitter
  • Facebook

オススメの記事

2018/12/10

日本経済新聞にハウスコムの働き方改革が取り上げられました。

2018/12/10

「全国2位の売上をあげている伊勢丹が、埼玉の浦和にあります。浦和では“浦和愛”が育まれています。」ハウスコム株式会社 浦和店 店長 丸山鉄東

2018/12/03

第2回学生ビジコン決勝戦「もし、成功が99%の努力と1%の閃きなら、1%の閃きの価値によって、99%の努力の価値は大きく変わってくる。」