「東山魁夷展」美術館にビジネスアイディアを探しに行く。

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先日、六本木の国立新美術館で行われていた「東山魁夷展」という芸術展に妻と一緒に行って参りました。

営業という仕事は、月間、四半期、そして、年間と言ったように、常に結果や数字が求められる仕事であるのに対して、芸術鑑賞には、正解がない問いに主体的に取り組む姿勢と意欲が必要とされ、欧米では、仕事で必要なスキルを養うために、多くのビジネスマンが日々、美術館などに通っているのだと言います。

もちろん、私も妻も芸術に関しては素人なので、どれだけ作品を見ても、細かい筆の使い方やテクニックなどはよく分かりません。

しかし、作品がつくられた背景の情報を追いながら、絵を意識的に見ていくと、「この作品は、終戦直後の日本で、こういった気持ちで描いたんだな。」、「この作品は、皇室から依頼で、こういった背景が絵に表現されているんだな。」などと言った感じで、様々なイマジネーションが私の頭の中に湧いてきて、想像力が掻き立てられます。

興味深いのは芸術そのものは70年、80年前に描かれた状態と全く変わっていないのに、その絵を見る人によって解釈の仕方が変わり、解釈の仕方が変わるということは、新しいモノの見方ができるようになるということでもあります。

これはビジネスでも同じことが言えるでしょう。例えば、営業の数字を見ても、数字は昨年と比べて上がっているか、下がっているかしか教えてくれません。

しかし、私は芸術を観て、イマジネーションを膨らませるように、数字の変化を見ながら、その数字の背景にある出来事を想像するように常に心がけています。

例えば、営業の成績が下がっている店舗があれば、営業のノウハウを教えてあげることで、サポートするのは簡単ですが、実は店舗の人間関係が上手くいっていなかったり、家族のことで、悩みを抱えていることが営業成績が下がっている大きな要因なのかもしれません。

もしくは、逆にすごく営業の数字が伸びている店舗でも、目の前の仕事に集中しすぎていて、長期的な投資を怠っているなどと言ったように、同じ数字でも、見る人の想像力によって、アドバイスの仕方が全然変わってきます。

かつて、米証券会社大手ゴールドマン・サックスには、500名のトレーダーがいたそうですが、人工知能によるトレードが普及したことで、現在ではトレーダーが3名しかいません。

AIでどれだけ正確なトレードができ、仮にお客様の性別、年齢、興味、年収などのデータを元に、AIによって営業のプロセスが完結するようになったとしても、「このお客様はどういった長期的なライフサイクルでお部屋探しをしているのか?」、「この前、お客さまがランニングを始めたと言っていたけど、もしかすると、これからは車を使う機会が減るから、もっと街に近い部屋をご紹介できるのではないか?」など、想像力が必要とされる部分は、芸術などを通じて、感性が常にどれくらいアップデートされているかにとって仕事が成果が大きく変わってくることでしょう。

岡本太郎さんが「俺は転んでないぞ、地球が俺に転んだのだ!」と言っていたように、これからの営業は、どれだけ面白い視点で、お客様とコミュニケーションを取れるかという部分が一番の付加価値になってきます。

異なったモノの見方の本質をアートから学ぶことができるのです。

21世紀の経営は最高のアート

最近では、アーティストが住んだり、美術館ができたりすると、その街の価値が上がると言った話もよく耳にします。

ニューヨークやロンドンでもアーティストが移り住むエリアは家賃が高いですし、芸術都市として知られる金沢市は美術館をつくったことで商店街が活気づき、美術館をスタートさせるのに200億円を投じて、初年度に328億円の経済効果があったというのですから、驚きです。

やはり、世の中が同じような方程式でどんどん効率化・合理化されていく中で、正解や成功のための方程式がない芸術には何か人々を惹きつけるものがあり、芸術から何かヒントを得た人達が少しずつ街を変えていっているのでしょう。

これは企業経営でも同じことが言えます。経済が右肩上がりに成長していた時代は、経営陣や上司の指示を待って、トップダウンで一気に物事を進めていく方が生産的でした。

しかし、右肩上がりの成長要素が他のアジアの国に移り、常に新しい市場を生み出すイノベーションが求められる時代には、社員一人一人が異なった「モノの見方」を持ち、上司の指示を待つのではなく、自らに問い、答えを出して成果を上げ、組織全体のパフォーマンスに繋げていかなければなりません。

20世紀は、様々な情報を論理的に分析して、ある程度想定させる「答え」を求めて経営戦略を立てていく必要がありました。

答えがない21世紀の経営戦略は、社内の事業部や異業種との境界線を全部取り払って、何もないキャンパスに絵を描くように、常にセレンディピティを意識しながら新しい価値を生み出していく覚悟が必要です。

皆さんも、積極的に展覧会や美術館に足を運んで、感性をアップデートする意識をしてみて下さい。

そうすることで、ハウスコムという組織自体が、最高のアート作品のようになっていくのではないかと思います。

ハウスコム株式会社
代表取締役社長:田村 穂

<プロフィール>
経営修士(MBA)中央大学大学院戦略経営研究科修了(榊原清則ゼミ)。2016年度、中央大学商学部客員講師に。大学在学中に宅建主任者の資格を取得。その後、不動産業界での経験を経て、1994年に同社入社。営業スタッフから1年で店長に抜擢される。常務取締役営業本部長を経て、2014年3月に社長に就任。賃貸仲介業から賃貸サービス業への変革を進め、人工知能などのITテクノロジーを活用したユーザー向けサービス・プラットフォーム「マイボックス」をリリース。自社のビッグデータを活用し、オープンサービス・イノベーションラボを展開。社会・地域に貢献できる不動産テック企業を目指す。

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